スイスの東欧での貢献

スイス政府は2004年、欧州連合(EU)の提案に応じ、EUの東方拡大で新たにEUに加盟する中欧諸国に支援金10億フラン(1250億円)を支払うことを約束した。目的は「EUの新規加盟国における経済的・社会的不均衡の緩和」にスイスも貢献すること。

支援金が支払われた国は、中央ヨーロッパの旧社会主義国家(ポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキア、スロベニア)とバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)、及びマルタとキプロス。

連邦議会がこの支援金を承認した後、国民がレファレンダムを立ち上げ、支援金の是非を巡る国民投票が06年に行われた。最終的には賛成多数で可決された。

それから3年後、スイスは新たに2億5700万フランの支援金をルーマニアとブルガリアに支払うことにした。さらに14年12月には、4500万フランの支援金がクロアチアに支払われた。スイスは合計250件以上ものプロジェクトに出資し、そのうち19件はルーマニアでのプロジェクトだった。

ところがグラディナリの学校ではここ数カ月来、学校を休む子どもがほとんどいなくなった。補習授業や適切な措置のおかげで不登校の生徒が減ったと教師らは確信している。それを支援してきたのが、プロジェクト「ゼフィア(Zefir)」(「力を合わせ、エンパワーメントを実現しよう」)だ。

このプロジェクトは国際児童保護NGO「テールデゾム」を含む複数のNGOによって立ち上げられた。EUの東方拡大に伴い、スイスも300万フラン(約3億7千万円)の資金援助を行っている。

ルーマニアは経済・社会政策の分野で多くの支援が行われており、既に28件のプロジェクトで合計1億8100万フランの資金援助を受けた。スイスの支援プロジェクトは社会的弱者の支援に重点を置いており、連邦外務省が3月に主催した報道陣向け取材ツアーの際、これらのプロジェクトの一部がスイスのジャーナリストにも紹介された。

グラディナリでは支援の需要が大きい。「昔はここでレンガ作りが行われていたが、今では農業のみ。住民には仕事もなく、生活は風前の灯だ。一つ屋根の下に15人もの家族が暮らしているケースもある」とミハイ・イオナ村長は説明する。

血液検査を一度もしたことがない老人。道端や外国で生まれたために出生登録がなされない子どもたち。特に貧困の度合いがひどいのは、住民2300人の約半数を占めるロマ民族だ。

「まず教育の重要性をロマ民族に理解してもらうのに苦労した」と、ある教師は話す。「両親の大部分は途中から学校に通わなくなった人たちだ。子どもの宿題をみられる親はわずか1割程度しかいない」

それがグラディナリでは少し変わった。イオナ村長自身がロマ民族出身であるのも理由の一つだろう。通常、ロマ民族出身者が村の代表になることは極めて珍しいことだ。イオナ村長は「グラディナリには民族問題がない」と誇らしげに言う。

だが実際は、ロマ民族の社会的統合はほとんど行われていない。この村では生徒211人のうち188人がロマ民族の出身で、金銭的に余裕のある家族は子どもを隣町のドラガサーニにある学校に通わせる。そこにはコンピューターの設備も整っている上、ロマ民族の子どもが少ないようだ。

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