麻薬王、また脱獄…

メキシコ政府は12日、同国最大の麻薬密売組織「シナロア・カルテル」の首領であるホアキン・グスマン受刑囚がメキシコ市郊外のアルティプラノ連邦刑務所から長さ1.5キロのトンネルを使って脱獄したことを明らかにした。過去にも脱獄したことがある受刑囚は逃走を続けており、メキシコ当局は大規模な人員を投入し捜索している。

「エルチャポ(ちび)」の愛称で知られるグスマン受刑囚は推定60歳。昨年逮捕されるまで隣国・米国への麻薬密輸を主導し、資産は10億ドルを超えると推定されている。

今回の脱獄では、11日午後9時ごろ、シャワー室に入ったことが確認された後に姿を消した。看守が調べたところ、シャワー室から地下のトンネルにつながる高さ10メートルのはしごが発見された。トンネルは高さ約1.7メートル、幅約80センチで、換気がされ、電気も通じていた。

メキシコのペニャニエト大統領は「国の恥だ」と激怒。治安当局は近隣州まで捜索範囲を広げるとともに、近くの空港で航空便の運航を停止させて、遠隔地への逃亡防止に当たっている。また刑務所所長をはじめとした職員が脱獄に関与した疑いがあるとして、30人近くを取り調べているという。

グスマン受刑囚は2001年にもメキシコ国内にある別の刑務所から洗濯物用のカートに隠れて脱獄に成功。昨年2月に西部シナロア州で高級マンションに潜伏中に逮捕されていた。

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